どの方向でも、文章を読む力、正確に計算する力、知識を使う力は土台になります。けれども、共通の土台があることと、同じ教材だけで準備できることは別です。
私立中の受験勉強をしている子は、その力をどこで生かせるかを見ます。県立附属中だけを考えている子に、私立中の難問を次々と与える必要はありません。附属岡崎中も候補なら、同校の募集要項と選考内容を別に確認します。
三方向の教材を同時に増やすと、勉強した時間は増えても、一つひとつを考え直す時間がなくなります。何が共通で、何を分けるのかを先に整理した方が、本人も動きやすくなります。
私立中については岡崎から名古屋・愛知県内の私立中学受験を考えるご家庭へ、附属岡崎中については愛知教育大学附属岡崎中学校を考えるご家庭へで、それぞれの準備を分けています。県外校も含めて比べる方は、岡崎から全国の私立中学受験を考えるご家庭へもお読みください。
愛知県の適性検査は、知識がいらない検査ではありません
令和9年度の県立附属中入学者選抜では、第一次選抜で適性検査Ⅰと適性検査Ⅱが行われます。どちらも小学校で学習する複数の教科を組み合わせた内容で、英語は出題しないとされています。第一次選抜を通過した志願者には、第二次選抜として個人面接があります。
「適性検査だから、教科の勉強はあまり必要ない」と受け取るのは危険です。
表やグラフに書かれた数値を比べるにも、割合や単位の理解が要ります。文章と図を結び付けるにも、理科や社会の知識が助けになります。長い問題文の中から必要な条件を選ぶには、国語で身につけた読み方が必要です。
知識をそのまま答えるだけではない。だからといって、知識がなくてもひらめきで解けるわけでもない。学んだことを、初めて見る資料や場面の中で使えるかが問われます。
愛知県は、実際に使われた適性検査問題と正答例を公式サイトで公開しています。一部は著作権の都合でWeb上に掲載されていませんが、問題の分量や問い方を知るには、まず公式の問題を見るのがよいと思います。
市販の問題集を選ぶときも、「公立中高一貫校向け」と書かれているだけで決めません。地域によって選抜の形式は違います。愛知県の現在の問題と照らし、何を練習するための教材なのかを確かめます。
適性検査の答案を見ていると、「分かっていなかった」の一言では片づけられない失点があります。
資料を上から順に丁寧に読んだものの、何を答える問題かを後まで確認していなかった。二つの条件は見つけたが、三つ目を使わないまま選択肢を決めた。割合は計算できたのに、基準にする量を取り違えた。グラフの変化を自分の印象で読み、数値へ戻らなかった。正しい選択肢を選んだが、なぜ正しいのかを説明すると曖昧だった。
点数だけを見ると、どれも同じ一問の失点です。しかし、次に直すことは違います。
私は、本人がどの順で紙を見たかを聞きます。設問を先に確認したか。使う条件へ印を付けたか。表の数値を書き出したか。途中で迷ったとき、どの資料へ戻ったか。問題用紙に残った線や小さな計算にも、その子の考え方が出ています。
正解した問題も見ます。たまたま選べたのか、理由を持って選べたのかは、丸だけでは分かりません。「ほかの選択肢は、どこが違うの?」と聞くと、理解している部分と曖昧な部分が見えてきます。
解説を聞いた直後に分かることと、数日後に一人で解けることも別です。似た問題だけでなく、資料や問い方が変わった問題でも同じ考え方を使えるかを確かめます。
適性検査では複数の教科が組み合わされますが、普段の算数や国語が不要になるわけではありません。
算数では、割合、速さ、図形、表やグラフ、単位などを、問題の場面に合わせて使います。式を立てられたかだけでなく、その式が何を表すのかを本人に説明してもらいます。計算はできるのに条件が変わると止まる場合は、公式を覚え直すより、図や表に置き換える練習が必要なことがあります。
算数で最初の一手が出ないときは、中学受験算数|答えではなく考えている途中を見るへつながります。
国語では、長い文章を速く読むことだけが目的ではありません。問いが求めていることをつかみ、本文や資料のどこを根拠にするかを決めます。選択肢を「何となく近い」で選ぶ子には、正しいものを探すだけでなく、ほかの選択肢がなぜ違うのかも話してもらいます。
文章や選択肢の根拠が曖昧なときは、中学受験国語|本文の根拠から読み直すもお読みください。
理科や社会でも、間違いをすべて暗記不足にしません。知識を知らなかったのか、資料の意味を取り違えたのか、知っていることを目の前の条件へ使えなかったのか。原因によって、戻る教材は変わります。
制限時間の使い方は、急いで解く練習だけでは整いません
適性検査では、複数の資料を読み、考え、選ぶことを限られた時間で繰り返します。
時間が足りなかったとき、すぐに「読むのが遅い」とは決めません。最初の資料を必要以上に読み込んでいなかったか。一つの問題にこだわり、後の問題を見る時間を失っていなかったか。迷った二択を何度も行き来していなかったか。原因を見ます。
反対に、早く終わっていても安心はできません。条件を一つだけ見て答えを決め、確認をせず進んでいることがあるからです。
最初から速さを求めるより、まず正しく考えられる手順を作ります。その後で、どこを短くできるか、迷った問題をいつ離れるか、最後に何を確認するかを決めます。時間配分も、その子の解き方を見ずに一律には決められません。
志願理由書と面接は、大人が整えすぎないようにします
県立附属中への出願では志願理由書を提出し、第一次選抜を通過すると個人面接があります。
志願理由書を書くとき、保護者が学校の教育方針を調べ、きれいな文章を先に作りたくなることがあります。けれども、大人の言葉で整いすぎた文章は、本人の話とつながらなくなります。
なぜその学校が気になったのか。どの学びや活動に関心を持ったのか。これまで、疑問に思って自分で調べたことはあるか。友達と意見が違ったとき、どうしたか。
立派な経験を探す必要はありません。学校での学習、委員会、習い事、家で気になって調べたことなど、本人が実際に経験したことから考えます。
面接も、想定質問への模範回答を丸暗記するだけにはしません。言い直してもよいので、質問を聞き、自分で考え、相手へ伝える練習をします。志願理由書に書かれたことを尋ねられたときも、その文章を再生するのではなく、自分の経験として話せる状態を目指します。
県立中高一貫校を受けると決めると、専用の講座や教材をすぐに探したくなります。
今の塾で小学校内容の基礎が身につき、毎週学ぶ流れができているなら、その環境は生かせます。適性検査への準備が不足しているとしても、塾をすべて替えることだけが解決ではありません。
まず、次のことを具体的に確かめます。
足りないと感じるたびに講座や問題集を加えると、復習する時間がなくなります。新しいものを一つ加えるなら、今までの何を減らすのかも決めます。
宿題を終えるだけで一週間が過ぎている方は、中学受験塾についていけない子の家庭学習をお読みください。今の塾や教材を変える前に別の見方がほしい方には、中学受験のセカンドオピニオンがあります。
五年生では、適性検査らしい問題だけを急いで増やさなくてもよいと思います。
算数で習った割合や図形を一人で使えるか。国語で本文の根拠を探せるか。理科や社会で学んだ知識を表や地図と結び付けられるか。小学校で習う内容を、少し違う場面でも使える状態にします。
学校を知り、本人が何に興味を持つかを見ていく時期でもあります。
→ 中学受験の小学5年生|算数・宿題・家庭学習を立て直す
六年生では、公式問題、受検年度の選抜、志願理由書、面接までを見通し、残り時間に合わせて優先順位を決めます。
私立中や附属岡崎中も候補なら、すべてを同じ量だけ進めることはできません。共通して直す力と、県立附属中のために必要な準備を分けます。教材を終わらせることではなく、本番で一人で考えられることを基準にします。
→ 中学受験の小学6年生|過去問と家庭学習の優先順位
県立附属中は一校しか志願できない。私立中も受けるのか。附属岡崎中はどうするのか。教材を増やすのか。学校を決める前から、家庭で考えることは増えていきます。
保護者が予定と宿題をすべて管理し、子どもへ何度も声をかける。子どもは返事だけをして動かず、保護者はさらに細かく確認する。正しいことを言っているのに、勉強も会話もうまく進まないことがあります。
そのときは、保護者の伝え方だけを直そうとしません。本人が実際に抱えている量、分からないまま残っている問題、塾から求められていることを一度並べます。家庭で決めること、本人に任せること、塾へ聞くこと、第三者が見ることを分けます。
受検や宿題の話から言い争いになることが増えた方は、中学受験で親子喧嘩が増えたご家庭へもお読みください。
同じ点数を取った二人でも、必要な勉強は同じではありません。
一人は資料の意味を読み違え、もう一人は条件を理解していたのに計算で崩れているかもしれません。正解した子が、実は二つまで絞って偶然選んでいることもあります。解説を聞けば理解できても、翌週に一人で同じ考え方を使えないこともあります。
私は、問題用紙への書き込み、線の引き方、図や計算、消した跡、手が止まったところを見ます。本人にも、何を考えてその答えを選んだかを話してもらいます。
できなかった問題をすぐに教えるのではなく、どこまでなら自分で戻れるかを確かめる。ヒントを一つ出した後、続きを自分で進められるかを見る。数日後、資料や数字が変わっても再現できるかを確かめる。そうして初めて、次に使う教材や問題を決められます。
県立附属中の受検だけを切り離すのではなく、今の塾、学校の学習、家庭で使っている教材、私立中などほかの候補も含めて整理します。
Thinking Studyを運営しているのも、noteで「豊橋の凡人家庭教師」として書いているのも、岡崎のご家庭を担当するのも同じ私です。
→ 正解した問題を説明できない子|豊橋の凡人家庭教師
これまでの指導については、中学受験の指導実績をご覧ください。岡崎での指導全体は、岡崎市の家庭教師でご案内しています。
県立附属中に関心はあるが、四校のどこが本人に合うか分からない。私立中や附属岡崎中と迷っている。今の教材で足りるのか知りたい。問題集は解けているのに、初めて見る資料になると手が止まる。
こうした段階でも構いません。
ご相談の際は、分かる範囲で次のものをお知らせください。
学校を先に決めるのではなく、本人と家庭が学校の教育をどう見ているか、受検に対して今の学習で何が使えるか、どこを新しく準備するかを分けて考えます。
合格や成績上昇を保証することはできません。また、県立附属中を一律に勧めることもありません。現在のお子さんができていること、曖昧なこと、次に確かめたいことを、答案と解いている途中からお伝えします。
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考えることはできます。ただし、適性検査と私立中の教科入試は同じではありません。基礎として共通する部分と、それぞれに必要な準備を分けます。入試日程や出願条件は受験年度の公式情報で確認します。
令和9年度入学者選抜では、志願できるのは一校・一コースです。制度は年度によって変更される可能性があるため、受検する年度の募集要項を必ず確認してください。
私立中向けの勉強をしていれば、適性検査にも対応できますか
計算、読解、理科・社会の知識など、生かせる力はあります。しかし、資料を組み合わせて読み、複数の条件から判断する問題には別の確認が必要です。今の教材で足りる部分と、公式問題などで補う部分を分けます。
愛知県の現在の適性検査は、他地域の公立中高一貫校受検と同じ形式とは限りません。令和8年度の問題は選択式で実施されており、最新の選抜内容と公式問題を基準に準備します。志願理由書と個人面接では、本人が自分の考えを言葉にする力を別に見ます。
はい。今の塾で得られているものを残す前提で、教材、宿題、テスト、問題用紙、答案を見ます。不足する部分だけを個別に補える場合もあります。
相談はできます。ただし、状況を見ないまま「間に合う」とは言えません。受検年度の選抜内容、現在の学習、答案、残り時間を確認し、優先することを決めます。
※募集人員、出願資格、検査内容、日程、提出書類などは年度によって変わります。受検する際は、愛知県公式の最新募集要項をご確認ください。