「全国の中学受験」という同じ入試があるわけではありません
県外の私立中を考え始めると、今までとは別の勉強を一式そろえなければならないように感じることがあります。
けれど、全国共通の中学入試があるわけではありません。地域が違えば、受験生が普段使っている教材や模試、併願の組み方も違います。同じ地域の学校でも、入試科目、問題の量、算数の難度、国語の文章と記述、理科・社会で知識を使わせる方法は同じではありません。
難しい問題集へ替えることが、全国受験の準備になるとは限らないのです。
先に見るのは、候補校の実際の入試です。
現在の教材で共通して学べる部分はどこか
四教科の中で、今のままでは足りない教科はどれか
どの模試を、何の判断に使うのか
学校別の問題へ、いつから触れるのか
第一志望と併願校で共通して直せることは何か
過去問の採点と解き直しを誰が見るのか
学校名がまだ定まっていない段階で、地域の違う問題集を何冊も集めても、本人の勉強は深まりません。まず気になる一校について、学校生活と入試問題の両方を見ます。そうすると、憧れだけで見ていた部分と、本人に合いそうな部分を分けやすくなります。
調べた結果、愛知県内の学校の方が本人に合うと分かることもあります。全国まで見たのに元へ戻ったのではなく、比べたから納得して選べたということです。
学校を調べるときは、合格実績より先に六年間を見ます
遠方の学校を調べ始めると、偏差値、大学合格実績、合格体験記などが目に入ります。どれも参考にはなりますが、それだけでは本人が六年間を過ごせる学校かどうかは分かりません。
学校の公式情報では、教育方針、授業、行事、課外活動、生徒への支援、寮があればその生活を見ます。説明会では、保護者が聞きたい進学情報だけでなく、本人が何を見ていたかも大切にします。
授業の話を覚えていたのか。在校生の様子が気になったのか。楽しそうだったことだけでなく、合わないと感じたことも話せるか。保護者には魅力的でも、本人はあまり心が動いていないことがあります。逆に、保護者が見過ごした小さな点を、本人がよく覚えていることもあります。
合格後に寮へ入る、家族の生活拠点を変えるなど、暮らしが大きく変わる学校もあります。その場合は、「受かったら考える」では遅いことがあります。
本人は家を離れて暮らすことをどう思っているのか。困ったときに助けを求められるか。持ち物や時間、体調をどこまで自分で管理できるか。家族はどのように支えるのか。入試問題との相性と同じように、生活との相性も出願前に考えます。
愛知県内にも全寮制の海陽中等教育学校がありますが、全国の寮制校を考えるときも、一校だけを基準にはしません。学校ごとの教育と生活を見て、本人が六年間を過ごす姿を比べます。
県外校について調べると、学校公式サイト、塾の資料、比較記事、動画、合格体験記、在校生や保護者の発信など、多くの情報が出てきます。
情報が多いほど正しい結論へ近づくとは限りません。受験年度も、家庭が学校へ求めるものも違います。一人の体験談を、その学校のすべてとしては受け取りません。
順番を決めます。
まず、学校公式の教育内容と最新の募集要項を読みます。次に、実際の過去問を見ます。そのうえで、説明会や学校行事で確かめ、体験談や口コミは個人の経験として参考にします。
学校について詳しくなることと、目の前の子どもの状態が分かることも別です。志望校の出題傾向を説明できても、本人が問題文の条件を落としていることに気づかなければ、勉強は変わりません。
学校の情報と、本人の手元で起きていること。その二つを行き来しながら考えます。
県外の学校が候補になると、「今の塾を替えた方がよいでしょうか」と相談されることがあります。
私は、まず現在のコース、教材、宿題、模試、答案を見ます。
四教科を順序立てて学べている。毎週勉強する習慣ができている。先生がお子さんの得意不得意を知っている。こうしたものは、志望校が県外でも大切な土台です。学校名が変わったからといって、すぐに手放す必要はありません。
一方、その志望校を受ける生徒が教室に毎年いるとは限りません。担当の先生が普段多く見ている学校と、ご家庭の志望校が違えば、使う模試や学校別対策、過去問の扱いに差が出ることがあります。これは塾の良し悪しではなく、日頃向き合っている入試の違いです。
塾には、次のことを具体的に聞いてみます。
今の塾で得られるものと、足りないものが分かれば、補う範囲を決められます。普段の四教科は今の塾で続け、学校固有の問題や過去問管理だけを別に見る方法もあります。
すでに塾の宿題で一週間が埋まっている場合は、講座を足す前に中学受験塾についていけない子の家庭学習をご覧ください。塾を続けるか、教材を替えるかを決める前に別の見方がほしい方には、中学受験のセカンドオピニオンがあります。
志望校に近い受験生が集まる模試、期間を限った学校別講座、オンライン授業、個別指導、家庭教師。県外校を考えると、今の塾の外にも選択肢が見つかります。
使うかどうかは、名前や実績だけでは決めません。
算数の初見問題を見てもらうのか。国語の記述を継続して添削してもらうのか。理科・社会の抜けを戻すのか。過去問の順番と解き直しを管理してもらうのか。任せる役割を言葉にします。
同じ内容の授業を重ねても、本人が考える時間は増えません。新しい講座を加えるなら、何を減らすのかも決めます。
塾の授業を受け、学校別講座にも参加し、家では別の問題集を進める。予定は埋まっているのに、解いた問題を数日後にもう一度考える時間がない。こうなると、勉強量は増えても、初めて見る問題で使える力は残りにくくなります。
外から補う目的は、授業時間を増やすことではありません。今の環境では見てもらいにくい部分を、本人が一人で使える状態にすることです。
普段受けている模試と、志望校を目指す受験生が多く受ける模試で、判定が違うことがあります。
よい判定が出た方を信じ、厳しい判定は相性が悪かったことにしたくなります。しかし、模試によって受験者層も問題の作りも違います。
今まで学んだ範囲の定着を見る模試なのか。志望校に近い受験生の中で位置を知る模試なのか。学校特有の問題への対応を見る模試なのか。数字の意味を先に確かめます。
その後で、問題と答案を開きます。
算数では、正答率の高い問題を落としていないか。難しい一問に時間を使いすぎていないか。国語では、文章量で崩れたのか、本文の根拠を取れなかったのか。理科や社会では、知らなかったのか、知識を資料へ使えなかったのか。
同じ偏差値でも、次に直すことは違います。模試は合否を決めてもらうためだけのものではなく、次の一か月の勉強を決めるために使います。
全国から候補校を探すと、学校の数はすぐに増えます。六年生で何校分もの過去問を広げると、解いた年度数だけが増え、直しが浅くなります。
最初の一年分では、点数と一緒に問題用紙も見ます。
同じ合格最低点との差でも、時間の使い方を直せば変わる子と、普段の教材へ戻る必要がある子では、その後の学習が違います。
一校を深く見ると、ほかの候補校との共通点も見えてきます。四教科の土台として直すこと、今の塾で続けること、その学校のためだけに必要なことを分けてから、次の学校へ進みます。
過去問の点数がまだ届かなくても、すぐに別の年度を解くとは限りません。失点の原因を普段の教材へ戻し、解き直した後に、別の問題で使えるかを確かめます。
難関私立中を考えると、算数の難しい問題集が必要に見えます。
もちろん、志望校の水準に合った問題へ触れることは必要です。ただ、見たことのある難問を増やしても、条件の置き方が変わった途端に止まることがあります。
問題文を読んだ後、最初に何を書いたのか。図や表へ置き換えたか。どの条件を使おうとしたのか。ヒントを一つ受けた後、自分で続きを進められたか。正解か不正解かだけでは見えないところを確認します。
解説を聞いた直後に解けることと、数日後にも自分で考え方を取り出せることは別です。志望校の問題へ進む前に、普段の教材で学んだ考え方が一人でも使えるかを見ます。
算数で最初の一手が出ない方は、中学受験算数|答えではなく考えている途中を見るもお読みください。
国語・理科・社会は、失点をすべて知識不足にしません
国語では、答えが合っているかだけでなく、本文のどこを根拠にしたかを聞きます。
選択肢を二つまで絞った後、言葉の印象で選んでいないか。記述に必要な要素を本文から拾えているか。設問が理由を聞いているのに、出来事だけを書いていないか。学校が変わると文章量や答え方が変わっても、根拠から読むことは共通する土台です。
国語の選択肢や記述が安定しない方は、中学受験国語|本文の根拠から読み直すへつながります。
理科や社会も、間違えた問題をすべて覚え直せばよいわけではありません。知識がなかったのか。知っていたのに設問の場面へ使えなかったのか。表やグラフを読み違えたのか。複数の条件をつなげられなかったのか。原因によって戻る場所を変えます。
県外校の問題に合わせるほど、特殊なことだけに目が向きやすくなります。四教科の基礎を残したうえで、その学校が知識をどう使わせるのかを過去問から見ます。
五年生では、学校を早く一校に決めるより、候補を比べられる学力を作ります。
算数の比・割合・速さ・図形、国語の設問理解、理科・社会の基礎。授業で分かった問題を、翌週も一人で使えるかを見ます。どの地域の学校を考える場合にも、土台になる部分です。
学校については、本人の関心がどこに向くかを見ます。保護者がよいと思う学校を先に説明しすぎず、本人から出る言葉を待ちます。
→ 中学受験の小学5年生|算数・宿題・家庭学習を立て直す
六年生では、候補を増やし続けません。
もっと合う学校があるかもしれない。別の模試も受けた方がよいかもしれない。新しい学校別講座が必要かもしれない。不安が強くなるほど、選択肢と教材は増えていきますが、子どもの一週間は増えません。
第一志望と併願校を絞り、共通して直すことと学校別に行うことを分けます。何をやるかだけでなく、今回は追わないものも決めます。
→ 中学受験の小学6年生|過去問と家庭学習の優先順位
県外校を含めると、入試日、合格発表、入学手続きの期限が複雑に重なることがあります。年度によって変わるため、各校の最新募集要項を一つの表にして確認します。
表へ入れるのは日付だけではありません。
併願校は、第一志望の練習会場ではありません。合格を受け取ったとき、本人と家庭が進学を考えられる学校から選びます。
学校数を増やすほど安心できるとも限りません。過去問へ使う時間が分散し、結果を受け止める負担も増えます。受けられる学校ではなく、受ける意味のある学校を残します。
県外校を考えると、地元では得られないものがすべて不足しているように感じることがあります。
別の模試、学校別講座、問題集、オンライン授業。調べるほど、どれも必要に見えてきます。保護者が一生懸命に考えた結果、子どもの机に教材が積み上がることもあります。
けれど、情報を集めた量と、本人が一人で解けるようになった問題の数は同じではありません。
何かを加える前に、今ある教材のどこが足りないのかを見ます。新しい問題集を始めるなら、いつ解き直すのかまで決めます。模試を受けるなら、その答案を誰が開き、次の勉強へ戻すのかを決めます。
保護者が予定、採点、解説、学校調べをすべて抱えると、家庭での会話が勉強の確認ばかりになります。子どもは返事だけをし、保護者はさらに声をかける。正しいことを言っていても、勉強が動かなくなることがあります。
家庭で決めること、本人に任せること、塾へ聞くこと、第三者に任せることを分けます。受験をめぐって言い争いが増えている方は、中学受験で親子喧嘩が増えたご家庭へもお読みください。
私は家庭教師として約30年、延べ600人ほどの学習を見てきました。愛知県内だけでなく、県外の私立中や寮制中を目指す子ども、中高一貫校へ進学した後の生徒にも関わってきました。
全国すべての学校の最新事情を知り尽くしているわけではありません。学校の教育や入試制度は変わります。候補校の公式情報と最新の募集要項、過去問を確認し、今の塾、教材、模試、本人の答案との間を見ます。
学校がどこにあっても、最後に見るのは子どもの手元です。
初めて見る問題で、どこから考え始めるのか。条件を図や表へ移せるか。なぜその式や選択肢を選んだのか。解説を聞いた後、一人で再現できるか。正解していても長く迷っていないか。塾の進度と本人の理解が合っているか。
同じ志望校を受けた以前の生徒が使っていた教材でも、次の子にそのまま当てはめることはしません。学校名が同じでも、止まっている場所は違うからです。
Thinking Studyを運営しているのも、noteで「豊橋の凡人家庭教師」として書いているのも、岡崎のご家庭を担当するのも同じ私です。
→ 正解した問題を説明できない子|豊橋の凡人家庭教師
これまでの指導については、中学受験の指導実績をご覧ください。岡崎での指導全体は、岡崎市の家庭教師でご案内しています。
愛知県内の学校と県外校のどちらが本人に合うか分からない。今の塾で県外校へ対応できるか確かめたい。複数の模試をどう見ればよいか分からない。候補校が増え、何から調べればよいか決められない。
そういう段階でも構いません。
ご相談の際は、分かる範囲で次のものをお知らせください。
お子さんの学年
気になっている学校と、本人が関心を持ったこと
現在の塾、コース、使用教材
最近の模試やテストの問題と答案
過去問へ取り組んでいれば、その問題用紙と答案
合格後の生活について、現在考えていること
ご家庭でいちばん困っていること
学校を一校に決めてから連絡する必要はありません。愛知県内の候補と比べ、全国まで広げる理由があるか。今の環境で得られていることは何か。志望校に対して足りないことは何か。教材と答案を見ながら整理します。
合格や偏差値上昇を保証することはできません。ただ、今できていること、止まっていること、次に確かめることは、できるだけ具体的にお伝えします。
岡崎から全国の私立中学受験について相談する
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学校の近さや偏差値だけで決めず、本人が学びたいこと、学校生活、入試問題との相性、合格後の暮らしを比べます。全国まで広げないという結論になっても構いません。
現在の教材、模試、志望校の過去問への対応によります。今の塾で得られている四教科と学習習慣を残し、学校別問題、模試の選択、過去問管理など、足りない部分だけを補えることもあります。
学校の入試時期、現在の学力、未習単元、過去問との相性によります。状況を見ないまま「間に合います」とは言えません。今から準備できる学校と、残り時間では追わない学校を早めに分けます。
寮のある学校は、本人が希望すれば受けてもよいでしょうか
本人の希望は大切ですが、寮生活への憧れだけでは決めません。日々の生活、困ったときの相談先、健康管理、家族との関わり、学校の教育を具体的に確認します。本人と家庭の両方が、合格後の暮らしを受け入れられるかを見ます。
一教科からでも相談できます。ただし四教科入試では、算数へ使っている時間が国語・理科・社会を圧迫していないかも確認します。失点だけでなく、問題を読んだ後、どこで手が止まるのかを見ます。
※入試科目、日程、出願方法、合格発表、入学手続き、学費、寮などの条件は、学校・年度によって変わります。受験校を決める際は、各学校公式の最新募集要項をご確認ください。