「全国向けの中学受験対策」という一つの勉強はありません
県外校を考え始めると、今までとは違う問題集を一式そろえなければならないように感じることがあります。
けれど、全国共通の私立中入試があるわけではありません。地域が変われば、受験生が普段使っている教材や模試、併願の組み方も変わります。同じ地域にある学校でも、入試科目、問題量、算数の作り、国語の文章と記述、理科・社会の問われ方は同じではありません。
「全国対応」「難関校向け」と書かれた教材を増やすことが、志望校対策になるとは限りません。
最初に一校の募集要項と過去問を開きます。
一校について具体的に見ると、その学校のために本当に必要な準備と、不安から増やそうとしていた勉強を分けられます。調べた結果、静岡県西部や愛知県内の学校の方が本人に合うと分かることもあります。全国まで見たのに後戻りしたのではなく、比べたから納得して選べたということです。
同じ志望校を受けた家庭が身近にいないと、検索結果、動画、合格体験記、塾の資料を次々に見たくなります。情報は増えているのに、かえって何を信じればよいか分からなくなることもあります。
最初に見るのは学校の公式情報です。教育方針、授業、行事、課外活動、生徒への支援、寮があればその生活を見ます。次に、受験年度の募集要項、入試科目、出願条件、試験日、合格発表、手続き期限を確認します。過去問が手に入るなら、実際の問題も開きます。
塾の説明や体験記は、公式情報だけでは分からない部分を補う材料として読みます。一人の合格例を、そのまま本人の学習計画にはしません。使った教材、勉強時間、受けた講座が同じでも、出発点とつまずき方は子どもによって違うからです。
学校説明会の後は、保護者が聞いた進学情報だけでなく、本人が何を覚えているかも確かめます。授業の話が残っているのか。在校生の様子を見ていたのか。楽しそうだったことだけでなく、合わないと感じたことも話せるか。保護者が魅力を感じた点と、本人の心が動いたところが違うこともあります。
志望校を地元の塾で毎年扱っていないからといって、すぐに塾を替える必要があるとは限りません。
四教科を順序立てて学べている。毎週勉強する習慣ができている。先生がお子さんの性格や、これまでのつまずきを知っている。こうしたものは、志望校が県外でも残せる土台です。
一方で、その学校を受ける生徒が教室に毎年いるとは限りません。普段使う模試や教材と、志望校を目指す受験生が多く使うものが一致しない場合があります。担当の先生が近年の過去問を見ていないこともあります。
これは塾の優劣ではありません。日頃向き合っている学校と受験生が違えば、蓄積される情報や学校別対策も違います。
今の塾には、志望校を伝えたうえで具体的に聞きます。
その学校を受験した生徒を最近担当しているか
現在の教材で、志望校と共通して学べる範囲はどこか
志望校固有の準備として、何が必要になるか
どの模試を受け、その結果を何に使うのか
学校別問題と過去問を、いつから誰が見るのか
今の塾だけで完結しなくても、役割が分かれていれば構いません。普段の四教科は今の塾で続け、志望校に合う模試を別に受ける。学校別講座を必要な時期だけ利用する。過去問の採点や一教科だけを個別に補う。それぞれに任せる仕事を決めます。
何となく不安だから講座、教材、オンライン授業を足すのでは、本人の一週間が先に崩れます。新しいものを加えるなら、「これで何を補うのか」を一つ言える状態にします。
塾の宿題と外部講座が重なって回らない場合は、中学受験塾についていけない子の家庭学習もお読みください。志望校と今の学習環境を一度別の視点から確かめたい方には、中学受験のセカンドオピニオンがあります。
普段受けている模試ではよい判定が出ているのに、志望校に近い模試では結果が大きく下がることがあります。反対に、一般的な偏差値では目立たなくても、学校別問題では相性のよさが見えることもあります。
結果が違ったときは、都合のよい方だけを採用しません。
受験者は誰か。問題はどの学校群を想定しているか。四教科の配点と時間はどうなっているか。志望校判定に十分な受験者がいるか。判定の前提を確認します。
その後、答案を開きます。
算数で後半に入る時間がなかった。国語の長い記述が空欄だった。理科は知識ではなく、初めて見る資料の読み取りで止まった。社会は用語を知っていたが、問いに合う形で書けなかった。同じ点数でも、次に直すものは違います。
模試を増やすほど、復習に使える時間は減ります。受ける前に、その模試で何を確かめるのかを決め、答案から次の学習へ戻します。
全国まで学校を広げると、過去問も学校数だけ増えていきます。どの学校も一年分だけ解き、得点を並べても、学校との相性や伸ばせる失点までは分かりません。
まず一校について、複数年の問題を見ます。
毎年似た力が問われているのか。算数は考える問題と処理する問題のどちらが多いのか。国語では、本文の読み取りをどの程度の長さで書かせるのか。理科・社会は知識そのものを問うのか、資料と組み合わせて使わせるのか。時間内にどこまで触れられるのか。
解いた後は、合計点だけでなく問題用紙を残します。
同じ不正解でも、戻る場所が違います。解き直しでは答えを覚えたかではなく、時間を置いて考え方をもう一度組み立てられるかを見ます。
第一志望を深く見た後で併願校の問題を開くと、共通して直せることと、学校ごとに分ける準備が見えます。過去問を解いた年度数ではなく、次の年度で同じ種類の失点が減っているかを確かめます。
四教科は、志望校の問題に合わせながら崩さないようにします
県外の難関校が候補に入ると、算数の難問へ意識が寄りやすくなります。しかし、算数の教材や講座を増やしすぎて、国語、理科、社会の復習が残るなら、四教科全体では前へ進みません。
算数では、難しい問題を何題解いたかより、初見問題で何を始めたかを見ます。条件へ線を引いたか。図や表を書いたか。比や割合の基準を決めたか。習った解法が本当にその問題へ合うかを考えたか。解説を聞けば分かるのに一人では止まる場合は、中学受験算数|図・式・条件をつなぐもお読みください。
国語では、文章の長さや記述量だけを見ません。選択肢の根拠を本文から拾えるか。記述に必要な箇所を保持できるか。設問に合う形へ答えを整えられるかを見ます。国語の読み方と答案については、中学受験国語|本文の根拠から読み直すで詳しく扱っています。
理科と社会も、間違いをすべて暗記不足にしません。知識がなかったのか、資料から必要な情報を選べなかったのか、条件を読み違えたのかを分けます。志望校に合わせることと、得意教科だけを深くすることは同じではありません。
五年生は学校を比べられる学力を作り、六年生は探す時間を終えます
五年生では、候補校を一校に決めきれなくても構いません。静岡県西部、愛知県内、全国の学校を見ながら、どこを受ける場合にも残る基礎を作ります。
授業で分かった問題を翌週にも一人で解けるか。算数の比・割合・速さ、国語の設問理解、理科・社会の復習が積み残されていないか。学校別の難問を増やす前に、後から選択肢を残せる学力を整えます。
五年生の宿題と家庭学習については、中学受験の小学5年生|算数・宿題・家庭学習を立て直すにまとめています。
六年生では、学校を探し続ける時間をどこかで終えます。普段の授業、模試の直し、学校別問題、過去問、出願準備が重なるためです。
候補校を増やすたびに新しい教材へ手を出すのではなく、第一志望と併願校で共通して直せる失点をまとめます。今から取りたい問題、時間をかけすぎない問題、現時点では深追いしない問題を分けます。六年生の過去問と優先順位は、中学受験の小学6年生|過去問・偏差値・志望校を整理するで詳しく扱っています。
遠方校を受ける場合、受験当日のことを直前まで学習計画の中へ混ぜないようにします。
受験会場、集合時刻、宿泊の要否、前後の試験日、体調を崩した場合の連絡先などを家族で確認します。複数校を受けるなら、試験が続いたときに本人の睡眠と食事を保てるかも考えます。
一度の遠出ができることと、入試期間を落ち着いて過ごせることは別です。予定を早めに決め、受験直前に保護者の不安がそのまま子どもへ伝わらないようにします。
ただし、移動や宿泊の計画だけが整っても受験準備にはなりません。本人が普段どおり問題を読み、時間を使い、答案を作れることが中心です。
遠方校へ合格した場合、寮へ入る、本人だけが親元を離れる、家族で生活拠点を変えるなど、暮らしが大きく変わることがあります。
本人は家を離れて暮らすことをどう思っているのか。困ったときに大人へ助けを求められるか。持ち物、時間、体調をどこまで自分で管理できるか。家族と会えない時期が続くことを、どの程度具体的に想像できているか。
保護者も、本人の希望だけで決めず、学校の支援、寮の生活、連絡の方法、休暇中の過ごし方を確認します。入試問題との相性だけでなく、生活との相性も出願前に考えます。
全寮制の学校を考えるときの具体的な視点は、海陽中等教育学校の受験対策・入学後の学習も参考になります。海陽だけを勧めるためではなく、十二歳から親元を離れる学校選びを考える一例としてお読みください。
保護者が集めた情報を、そのまま子どもの宿題にしないようにします
全国の学校を調べる仕事は、どうしても保護者の方が多くなります。学校説明会、募集要項、模試、講座、受験日程を調べるうちに、見つけたものを全部子どもへやらせたくなることがあります。
問題集を買い、動画を見せ、講座を加え、毎日の予定を細かく確認する。子どもは自分の受験なのに、指示されたものを終えるだけになる。保護者は進まない様子を見てさらに声をかける。これでは、学校を選ぶ話まで親子でしにくくなります。
情報を集める役割と、今週の勉強を決める役割を分けます。教材を増やす前に、現在の宿題と復習がどこまで回っているかを見る。本人へ任せること、塾へ戻すこと、第三者が受け持つことを決めます。
宿題や受験をめぐる言い争いが増えている場合は、中学受験で親子喧嘩が増えたご家庭へもお読みください。
まだ全国まで広げるか決めていない段階でもご相談いただけます。
静岡県西部や愛知県内の学校と比べたい。本人が見つけた遠方校について、何から確認すればよいか分からない。今の塾を残せるのか知りたい。模試の判定と過去問の得点が合わない。講座や教材を増やしすぎて、何を優先すればよいか分からない。
そのような段階から、候補校の公式情報、募集要項、過去問と、現在の教材、模試の問題と答案、普段のノートを一緒に見ます。実際に問題を解いてもらい、どこを読み、何を書き、どこで手が止まるのかも確かめます。
ご相談の際は、分かる範囲で次のものをお知らせください。
Thinking Studyでは、知らない学校について知っているふりをしません。学校公式の情報と実際の入試問題を確認し、本人の学習との間を一緒に見ます。
また、以前の合格者が使った教材を、そのまま次の子へ当てはめません。同じ学校を目指していても、算数で図が出ない子、国語で本文の根拠を拾えない子、宿題を終えるだけで一週間が過ぎる子、模試では点が取れても初見問題で止まる子がいます。戻る場所も補い方も違います。
合格や成績上昇を保証することはできません。ただ、現在できていること、志望校に対して足りないこと、次に確かめることは、できるだけ具体的にお伝えします。
これまでの中学受験指導については、指導実績・合格実績をご覧ください。
湖西から全国の私立中学受験について相談する
指導料金・学習相談料金を確認する
決まっていない段階でも相談できます。静岡県西部と愛知県内の学校を含め、本人が学校に求めているものと現在の学習から、全国まで広げる意味があるかを考えます。
まずは続ける前提で、教材、宿題、模試、答案を確認します。今の塾で得られているものを残し、志望校に必要な模試、学校別問題、過去問指導など不足する部分だけを補えることがあります。
現在の状態を見ずに「間に合います」とは言えません。志望校の入試時期と科目、現在の教材、模試、過去問、残り時間を確認し、現実に直せることから考えます。出願や遠征の準備も同時に確認します。
寮のある学校は、本人が希望すれば受けてもよいでしょうか
本人の希望は大切ですが、それだけで決めるものでもありません。寮で困ったときに助けを求められるか、生活をどこまで自分で管理できるか、学校の支援はどうなっているかを親子で確認します。
一教科から相談できます。ただし四教科入試では、算数に使っている時間が国語・理科・社会を圧迫していないかも見ます。失点だけでなく、初見問題での最初の一手を確かめます。
静岡県西部・愛知県内の学校との併願も相談できますか
相談できます。共通して整えられる教科の基礎と、学校ごとに分ける入試科目、問題形式、過去問、出願準備を整理します。
※入試科目、日程、出願条件、募集区分、提出書類、手続き期限などは学校・年度によって変わります。受験校を決める際は、各学校が公表する最新の募集要項をご確認ください。