結論――定期テストの合計点だけでは、通知表の評定は決まりません
中学校の通知表では、各教科の学習状況を主に次の3観点から見ています。
知識・技能
思考・判断・表現
主体的に学習に取り組む態度
文部科学省・国立教育政策研究所は、観点別評価をこの3つに整理し、観点ごとの評価を総括して5段階の評定につなげる考え方を示しています。
つまり、定期テストの合計点が高くても、
といったことがあれば、期待した評定にならない場合があります。
テストの点数が無意味なのではありません。
むしろ、定期テストは今でも重要です。
ただ、テストの合計点だけを見ても、3観点のどこで評価が止まっているかまでは分からないということです。
「知識・技能」は、教科の基本的な内容を理解し、必要な知識や技能を身につけているかを見る観点です。
たとえば、
英単語や文法を理解している
数学の計算ができる
漢字や語句を覚えている
理科や社会の基本用語を理解している
実技教科で必要な技能を身につけている
といった部分です。
定期テストや単元テスト、小テストなどが、評価材料の一つになります。
ただし、定期テストで80点を取ったからといって、「知識・技能」が必ずAになるとは限りません。
テストの中でも、どの観点を測る問題で点を取ったのか。普段の小テストや実技ではどうだったのか。単元をまたいで安定して理解できているか。
こうした点も関係します。
「思考・判断・表現」は、覚えた知識を使って考え、判断し、自分の考えを表す力を見る観点です。
たとえば、
数学で途中式や考え方を書く
国語で本文を根拠に記述する
英作文で質問に合った内容を書く
理科で実験結果の理由を説明する
社会で資料から読み取ったことを書く
レポートや発表で考えを整理する
といった場面です。
テストの合計点は高くても、選択問題や基本問題で点を取り、記述問題や説明問題では落としている子がいます。
本人は「だいたい分かっている」と感じています。
実際、答えを選ぶことはできます。
ところが、
「なぜ、その答えになるのか」
「本文のどこを根拠にしたのか」
「どのように考えたのか」
を外に出すことができません。
このタイプの子は、定期テストの点数だけを見るとよくできています。しかし、答案やレポートを見ると、「思考・判断・表現」で伸びきらない理由が見えてくることがあります。
この観点は、最も誤解されやすいところです。
「授業中にたくさん手を挙げること」
「先生の目を見て、何度もうなずくこと」
「ノートをきれいに飾ること」
だけを意味するものではありません。
国立教育政策研究所は、「主体的に学習に取り組む態度」について、学習へ粘り強く取り組もうとする面と、自分の学習状況を把握し、学び方を調整しようとする面から評価する考え方を示しています。
また、挙手の回数や、毎時間ノートを取っているかといった一時的な行動だけで評価するものではないことも明確にされています。
たとえば、
間違えた問題をどう直したか
分からなかったところをどう確認したか
前回の反省を次の学習に生かしたか
自分の苦手な問題を把握しているか
学習方法を変えようとしているか
難しい課題にも粘り強く取り組んだか
といった学習の過程です。
もちろん、授業へ参加することは大切です。
ただし、内容を理解していないのに、評価されるためだけに手を挙げたり、分かったふりをしたりすることが、本来の「主体的に学習に取り組む態度」ではありません。
「A・B・Cなら評定はいくつ」と単純には決められません
インターネット上では、
「AAAなら5」
「AABなら4」
「BBBなら3」
といった説明を見かけることがあります。
目安として分かりやすく説明しているものですが、全国の中学校で使われる一律の換算表があるわけではありません。
観点別評価は、各教科の目標や評価規準に照らして行われ、その結果を総括して5段階の評定がつけられます。学校や教科によって、使われる課題や評価場面も異なります。
したがって、
「知識・技能がA、思考・判断・表現がB、主体的態度がAだから、絶対に4になる」
と外部から断定することはできません。
だからこそ、通知表の数字だけでなく、観点別評価と実際の答案・課題を一緒に見る必要があります。
理由1 テストの合計点は高いが、観点ごとの得点に偏りがある
同じ80点でも、中身は同じではありません。
基本問題や暗記問題ではほとんど正解している。
しかし、記述問題や説明問題では点を落としている。
この場合、合計点は高くても、「思考・判断・表現」の評価が十分に伸びないことがあります。
テストが返ってきたら、合計点だけでなく、
どの問題で落としたか
知識・技能の問題だったか
思考・判断・表現の問題だったか
記述で何が不足していたか
を確認します。
答案に観点を示す記号が記載されている場合は、そこも手がかりになります。
理由2 定期テストは取れるが、小テストや単元テストが安定していない
テスト前に集中して勉強し、定期テストでは点を取れる子がいます。
一方で、普段の英単語テスト、漢字テスト、計算テスト、単元テストでは、準備をしていないことがあります。
本人は、
「定期テストで取ればいい」
と考えているかもしれません。
しかし、学校側から見ると、学習した内容が日常的に定着しているか、継続して取り組んでいるかを確認できません。
定期テスト一回の点数だけでなく、普段の小さな評価場面も見直す必要があります。
頭の回転が速い子や、感覚で問題を解ける子に多い状態です。
数学では、暗算で答えだけを書く。
国語では、何となく選択肢を選ぶ。
英語では、感覚で並べ替える。
理科や社会では、用語だけを書いて説明を省く。
本人に聞けば、ある程度説明できます。
しかし、答案や提出物には考えた過程が残っていません。
評価する側が確認できるのは、本人の頭の中ではなく、授業、答案、レポート、作品、学校ワークなどに表れたものです。
先生に過剰にアピールする必要はありません。
ただし、自分の考えが正しく伝わる形にはする必要があります。
途中式を書く。
根拠となる部分を示す。
主語と理由を入れて説明する。
間違えた原因を言葉にする。
これは内申点のためだけではなく、高校以降の学習でも必要になる力です。
理由4 学校ワークが「できる子の雑な提出物」になっている
テストで点数が取れる子ほど、学校ワークを軽く扱うことがあります。
「もう分かるから」
「答えが合っていればいいから」
「提出日に間に合えばいいから」
と思い、短時間で終わらせます。
その結果、
途中式がない
丸つけが雑
間違い直しが答えの書き写し
解き直した跡がない
記述問題を空欄にしている
字が本人にも読めない
提出期限ぎりぎりで仕上げている
という状態になります。
学校ワークは、きれいに飾る必要はありません。
色を増やし、時間をかければ高く評価されるわけでもありません。
しかし、
「どこで間違えたのか」
「どう直したのか」
「次に同じ問題が出たら解けるのか」
が本人にも先生にも分かる形にはしておきたいところです。
学校ワークを、先生によく見せるための作品にするのではありません。
提出物、理解の確認、テスト勉強、学習の記録を兼ねた教材として使うことが大切です。
授業や単元の終わりに、振り返りを書く機会があります。
そこで、
「難しかったです」
「よく分かりました」
「次は頑張りたいです」
だけを書いて終わっている子がいます。
これでは、自分の学び方を振り返ったことにはなりにくいでしょう。
振り返りでは、
何ができるようになったか
どこで間違えたか
まだ分からないことは何か
次に何を確認するか
前回と比べて何を変えたか
を具体的にします。
先生へ反省している姿を見せるためではありません。
自分の学習を次へつなげるためです。
理由6 授業内容は分かっていても、学習への参加が外から見えにくい
テストで点数が取れる子の中には、授業を聞かなくても問題を解ける子がいます。
そのため、
「もう知っている」
「塾で習った」
という雰囲気が出てしまうことがあります。
ただし、授業は、知っている内容を静かに待つだけの時間ではありません。
先生やほかの生徒の考え方から、自分とは違う見方を知る。
自分の考えを言葉にして確かめる。
説明の仕方を学ぶ。
知識を別の場面で使う。
そうした学習も含まれています。
一方で、ここを単純に「もっと手を挙げなさい」で終わらせたくはありません。
人前で話すことが苦手な子もいます。
発言するまでに時間がかかる子もいます。
分かっていても言葉にすることが難しい子もいます。
発言回数を増やすだけでなく、
ワークシートへ考えを書く
ペア活動で言葉にする
記述問題で根拠を示す
分からないところを質問する
振り返りに具体的な内容を残す
など、その子が学習へ参加したことが伝わる方法を探します。
理由7 主要5教科は取れているが、実技教科で落としている
「テストは取れている」と言うとき、国語・数学・英語・理科・社会だけを見ていることがあります。
しかし、内申点は音楽、美術、保健体育、技術・家庭を含む9教科で考えます。
実技教科は、得意不得意が出やすいものです。
それでも、
筆記テスト
作品や実技
レポート
準備物
授業中の課題
振り返り
提出期限
など、改善できる部分はあります。
主要5教科では4が並んでいても、実技教科に2や3が多ければ、9教科合計の内申点は伸びません。
「自分はテストが取れている」という感覚と、高校受験で使う9教科の評定合計がずれていることがあります。
内申点について調べると、「行動の記録を整えれば内申点が上がる」という説明を見かけることがあります。
ここは少し整理が必要です。
高校入試の調査書情報にある「行動の記録」と、国語・数学・英語など各教科の5段階評定は、同じ項目ではありません。
各教科の評定は、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」という教科ごとの学習評価を総括したものです。
一方、「行動の記録」は、学校生活での行動について記録する別の項目です。
さらに愛知県では、2027年4月入学者の入試から、調査書情報の登録事項から「行動の記録」「出欠の記録」「性別」を削除することが正式に決まっています。愛知県教育委員会は、学ぶ場所の多様化により、公平な選抜資料として扱いにくくなることを理由の一つに挙げています。
ただし、これは「授業での取り組み方が各教科の評価に一切関係しない」という意味ではありません。
授業中の発言、記述、行動観察、自己評価などは、各教科の学習状況を見る材料の一つになる場合があります。
大切なのは、
学校生活全般の行動を記録する項目と、
各教科の学習を3観点で見る評価を混同しないことです。
内申点対策を、礼儀や見た目の印象だけを整える話にしてはいけません。
あります。
ただし、「80点なら3」という共通の基準があるわけではありません。
たとえば、
といった可能性があります。
反対に、定期テストが80点に届かなくても、ほかの評価材料を含めて4になる場合も考えられます。
ほかの子の点数と比べるだけでは、理由は分かりません。
定期テスト90点でも内申4になるのはおかしいですか
90点を取っていても、5ではなく4になることはあります。
90点という合計点だけでは、どの観点でどのように評価されたか分からないからです。
特に5は、単にテストで高得点を取ったというだけでなく、教科の目標に照らして、観点全体で高い学習状況が確認される必要があります。
ただし、複数回90点前後を取り、ほかの課題にも問題がないのに、観点別評価や評定に疑問が残る場合は、学校へ確認して構いません。
その際は、
「どうして5ではないのですか」
と詰めるより、
次の評定へ上げるために、どの観点の、どの部分を改善すればよいでしょうか。
と尋ねた方が、具体的な答えを得やすくなります。
通知表に納得できないとき、感情的になるのは自然なことです。
本人は努力しています。
テストでも結果を出しています。
それでも、学校へ「評価がおかしい」と伝える前に、次のように確認してみてください。
定期テストでは点数が取れていますが、観点別評価ではどの部分が足りなかったのでしょうか。
次の評価へ上げるために、本人が具体的に改善できることを教えていただけますか。
思考・判断・表現は、どの課題やテスト問題で評価されていますか。
主体的に学習に取り組む態度は、どのような場面を基に評価されていますか。
評価への異議をぶつけるのではなく、次の学習に必要な情報を聞きます。
回答が抽象的な場合は、答案、学校ワーク、レポートなど、具体的なものを見ながら確認すると話が進みやすくなります。
テストは取れているのに通知表が低い場合、次の5つを並べて確認します。
5段階評定だけでなく、どの観点がA・B・Cなのかを見ます。
合計点ではなく、どの観点の問題で失点しているかを確認します。
普段の理解と定着が安定しているかを見ます。
期限だけでなく、間違い直し、途中式、記述、振り返りの中身を確認します。
主要5教科だけでなく、音楽、美術、保健体育、技術・家庭まで見ます。
この5つを確認すれば、少なくとも「何となく先生に評価されていない」という状態から、具体的な改善点を探せる状態へ進めます。
先生に好かれることと、自分の学びを伝えることは違います
内申点の話になると、
「先生に媚びないといけないのでしょうか」
という疑問が出ます。
私は、子どもに媚びる練習をさせる必要はないと考えています。
ただし、分かっていること、考えたこと、直したことが、何も外に残っていなければ、評価する側には届きません。
分かっていても、答えだけを書く。
考えていても、言葉にしない。
間違いを直していても、記録を残さない。
努力していても、提出物には表れていない。
これでは、本人の学びが正しく伝わらないことがあります。
必要なのは、先生に気に入られるための演出ではありません。
自分の学習を、自分にも相手にも分かる形にすることです。
それは内申点対策であると同時に、学び方そのものを整えることでもあります。
テストで点数を取っている子に、
「もっと頑張りなさい」
とだけ言っても、本人は困ります。
すでに勉強しています。
結果も出しています。
それでも通知表が上がらないのですから、努力量だけの問題とは限りません。
必要なのは、
どの教科で点数と評定がずれているか
どの観点が低いか
定期テストの中で何を落としているか
小テストは安定しているか
学校ワークに学習の跡が残っているか
記述や説明が弱くないか
実技教科を軽く扱っていないか
を分けて見ることです。
努力を増やす前に、努力の向きを修正します。
Thinking Studyでは、内申点が低いからといって、いきなり提出物を派手にしたり、挙手の回数を増やしたりはしません。
まず、実際のものを見ます。
通知表と観点別評価
定期テストの答案
小テストや単元テスト
学校ワーク
レポートやプリント
実技教科の課題
テスト範囲表
家庭での学習状況
同じ評定3でも、
テストの点数が足りない3なのか。
思考・判断・表現で止まっている3なのか。
普段の学習が安定していない3なのか。
学校ワークや提出物で損をしている3なのか。
原因は違います。
原因が違えば、対策も変わります。
学校ワークの使い方を変える。
記述問題の答え方を練習する。
小テストの準備を習慣にする。
振り返りの書き方を具体的にする。
授業内容を理解できるところまで戻る。
本人に必要なことから整えます。
内申点は大切です。
愛知県の公立高校入試を考えるなら、無視することはできません。
だからこそ、取れる評定は正面から取りにいく必要があります。
一方で、
「内申点が低いから、この子は真面目ではない」
「先生に評価されないから、努力が足りない」
と決めつける必要もありません。
テストは取れているのに、通知表が低い。
そこには、本人の学びと学校の評価の間に、何らかのずれがあります。
そのずれを怒りや駆け引きだけで埋めるのではなく、通知表、答案、提出物を冷静に見ながら整理する。
そうすれば、次に変えるべきことが見えてきます。
内申点を上げることだけで終わらず、自分の考えを残すこと、間違いを振り返ること、学び方を調整することまで身につけば、高校へ進んだあとにも役立ちます。
豊川市で、テストは取れるのに内申点が低いとお悩みのご家庭へ
定期テストで点数が取れているのに、通知表が上がらない。
同じ点数の友達より、内申点が低い。
評定3から4へ、4から5へ上げるために何を変えればよいか分からない。
そのようなときは、勉強時間を増やす前に、現在の評価のどこで止まっているかを確認してください。
Thinking Studyでは、豊川市の中学生の通知表、定期テスト、学校ワーク、提出物を実際に見ながら、内申点が上がらない理由を整理します。
家庭教師への入会を前提としない、教育相談・学習セカンドオピニオンからでも構いません。
先生に好かれる方法を考える前に。
子どもへ「もっと頑張れ」と言う前に。
まずは、その子の努力が、どこで評価につながっていないのかを見てみませんか。
点数だけで一律には決まりません。
テストの難易度、観点ごとの得点、小テスト、レポート、学校ワーク、実技など、複数の評価材料が関係します。
80点でも3の場合もあれば、4の場合もあります。
必ず5になるとは限りません。
知識・技能だけでなく、思考・判断・表現や、主体的に学習へ取り組む態度を含めて評価されるからです。
観点別評価と、記述・レポートなどの内容を確認してください。
提出物をすべて出しているのに内申点が低いのはなぜですか
提出したかどうかだけでなく、内容や学習の過程が関係している可能性があります。
答えを写しただけになっていないか、間違いを直しているか、途中式や根拠が残っているかを確認します。
挙手の回数だけで評定が決まるものではありません。
ただし、発表や話し合いなどが教科の評価場面になっている場合は、学習活動へ参加することも大切です。
人前で話すことが苦手な場合は、記述や質問など、別の形で学習を表す方法も考えます。
最初から好き嫌いが原因だと断定することはできません。
まず、観点別評価、答案、提出物など、具体的な評価材料を確認してください。
疑問が残る場合は、次の評定へ上げるために何を改善すればよいか、学校へ具体的に尋ねます。
「行動の記録」と各教科の5段階評定は、同じ項目ではありません。
各教科の評定は、教科ごとの3観点を基に総括されます。
愛知県では2027年度入試から、行動の記録は調査書情報の登録事項から削除されます。
必ず上がるとは約束できません。
評定を決めるのは学校だからです。
ただし、通知表、答案、学校ワーク、提出物を確認し、本人が改善できる部分を具体的にすることはできます。